ビジュアル系バンド「DuelJewel」のギタリストとして活躍されているShunさんに、api「TranZformer GTR」をご利用いただいたきっかけや使用感、サウンド面でのポイントなどをお伺いしました。
TranZformer GTRを導入したきっかけ
api TranZformer GTR を導入したキッカケと、どのように使用しているか教えてください。
Shunさん(以下敬称略):
ライブではFractalをメインで使っているのですが、どうしてもデジタル機材特有のラインっぽさが気になるのでクリーン・ブースターを手前に入れているんです。
今まで使ってたのよりも良い物がないかと探してた時、Mix Waveに相談して幾つか試させてもらった中でTranZformerに辿り着きました。
ブースター・マニアとして過去に30個近く所有していたと聞いています。その中にTranZformerみたい物は無かったですか?
Shun:
無かったですね! あんなしっかりしたEQ、しかもマイナスもできるEQが付いている物は殆どありませんでした。
TranZformerの前に使ってた物はギターソロに伸びやかさも出たし、デジタルっぽさを和らげると言う点も悪くはなかったんです。
でも、ツマミがゲイン1つだけだったので、やりにくさは感じていました。
EQ以外にも決め手はありましたか?
Shun:
やはり「アナログくささ」ですね! 色々と試した中でもTranZformerだけはコンソールを通ったような自然なコンプ感やアナログっぽさが感じられたんです。それが「apiサウンド」なんですかね?
過去、他に試したのはサウンドに特徴があったとしても周波数特性が違うだけなように感じて、満足するまでには至らず…。
TranZformerは、そのワンランク上を実現してくれた!と言う感じです。
サウンドキャラクターとセッティング
機材のもつサウンド・キャラクターも重要なポイントなんですね?
Shun:
正直、ブースターの違いってそこまで聞き手には伝わらないかもしれないじゃないですか。
でも、弾き手として弾きやすさが変わるので、とても重要です。
だから今、弾いてて楽しいし、心にゆとりができましたね!
TranZformerは、ちょっと演奏に粗さを出しても、音がまとまってくれますし。
ブースターの使い方は大きく分けて「増幅」と「補正」に分かれると思いますが、どちらの使用方法ですか?
Shun:
「補正」ですね。僕がメインで使っているギターはトレブルの痛いところも出ちゃうので、ミッドを上げるか、トレブル下げるかで悩んでいて。それが、TranZformerでトレブルを少しマイナスに回したら、その痛いところが無くなったので凄い効果を感じました。
あと、TranZformerを使うとサスティーンがよくなるんです。少しゲイン上げている影響かもしれないですが。
ギターソロはフロント・ピックアップで弾くことが殆どなんですが、その時の滑らかさや甘さとかも段違いに良く聞こえるんです。
TranZformerは常にONですか?
Shun:
はい、常にONです。
Modeはどちらを使用しています?
Shun:
Clean Boostです。Fractal側のアンプ設定で結構しっかり歪ませるのですが、歪ませても潰れないサウンドを手前で作ってくれるんですよね。
DuelJewelは相当ヘヴィなリフトかもあるし、ソロで細かいこともやっているので、その両方を共存させるのが難しいんです。
でもTranZformerを通すとバッキングの重さもソロの甘さもちゃんと際立つんです。
ダウンチューニングの曲も多いですよね。
Shun:
一番使うのはドロップC#です。そのレンジまでしっかりカバーしてくれていますね。
ヘヴィーさを際立たせるために、BASSも少し上げてます。
TranZformerの良い所って、BASSの周波数が200Hzじゃないですか。そこが美味しいんです!
ダウンチューニングだともう少し下の周波数が欲しいかもしれないですが、やっぱギターの美味しいところって100~150Hzあたりだと思うんです。そこにEQのポイントが当たってるのが嬉しい。
そうやって、TranZformerでFractalに入る前のコアとなる音に整えているということですね。
Shun:
実はバンドのこだわりとして、Fractalからはラインで出していないんです。
キャビシミュを抜いた状態でパワーアンプとキャビに送ってマイク集音しているので、ラインだと削られがちなローはしっかりあるんです。
環境によってはそのローがボヤける事もありましたが、TranZformerにしてからそこが締まりましたね。
キャビもライブハウスのMarshall 4×12を使う事もあり、その個体差に左右される事もありのですが、そこはパワーアンプのEQで補正しています。
TranZformerはあくまでギターの音の補正なので、EQは「トレブル少し下げ、ミッド少し上げ」で固まってます。
出口はパワーアンプのEQでどうにかできますが、入口の部分はブレてはダメです。
パワーアンプのEQだけで調整していた頃は、その日のライブハウスでローが回るからBASS下げたら、根本的な部分まで変わっちゃってギターソロが物足りなくなったりすることもあったので。
このように設定しているアンプの歪み具合にも影響が出ますし、その日のライブのテンションに影響しますからね。
ライブの時、中音(なかおと)の調整はNatsukiが中心となってやってくれるのですが、まずギターリスト2人だけでバランスとるんです。祐弥がバッキング中心なので、それに対して僕の方を調整する感じが多いのですが、以前はそこで時間かかってしまう事が多くありました。それがTranZformerにしてから最近その手間がなくなったのも大きいです。
そう言う部分でも「安心を手に入れた」というのが大きいですね!
バンドサウンドの進化・ライブでの使用感
ギターはCombatのオリジナル・モデルを使用する事が多いようですが、セミホローだと、低域のコントロールが難しそうですね。
Shun:
凄く難しいですね。なのでFractalのアンプ設定では、ローは上げていないです。
どちらかと言うとローの効いたヘヴィーなサウンドは下手側ギターの祐弥が担当しているので、僕はヘヴィーな部分よりはギターソロの方に焦点を当てていますね。
アルバム「[RE]REVIVE」では、昔の曲が再録されていました。
当時は真空管アンプなどアナログ機材を中心だったと思いますが、その当時のサウンドに引っ張られたりしましたか?
Shun:
引っ張られましたね。録音環境はさておき、アンプなどに関しては昔の機材の方が音は良かったと思うんです。
でも物理的な問題もあり、今は大きなアナログのシステムを持ち運ぶ時代ではなくなったので、デジタル機材を試行錯誤しながら調整して、イメージしている音に近づけようとしています。
そんな中、TranZformerを導入してから昔のサウンドに近づいた感じもありました。
バンドのサウンドは進化しても、過去の音源を振り返った時に「ここは昔に敵わないなぁ」と言うのもありましたか。
Shun:
Fractalを導入した直後はブースターなど入れていなかった事もあり、「こうじゃなかったよなー」と思うこともありました。
中のツマミとか触りまくって研究もしたんですが、どうしても追い込めない部分もあって。
仲間内でも、みんな同じことで悩んでましたね。
デジタルって音を突っ込むと変なクリップノイズ乗ってしまう事もあるので、真空管アンプでやっていたようなギリギリを攻めた音作りは再現できないですよね。それを再現するためにクリーン・ブースターを導入したのかもしれません。
再録と新曲とのバランスも違和感なかったです。
Shun:
そこは目指しましたね。ライブではどうしても曲ごとに細かくはプリセットを分けられないので、歪みなら「歪み」と言う設定のサウンドで複数曲に渡って演奏します。その分オールマイティーなじゃないといけないので、そのオールマイティーなサウンドの基準を上げる事が重要なのです。
そのコアとなる部分のブラッシュアップにTranZformerは大きく貢献しています。
あとTranZformerを導入してから、不思議とライブ中にギターを持ち換えても安定するんです!
以前はギター個々のキャラクターが強く出すぎて調整が必要だったのですが、ちゃんと「TranZformerを通したapiサウンド」で落ち着いているように感じます。
どのギターで、どこの会場でやっても、ある程度の基準値に到達させられるようになったのは大きいと思います。
相当、信頼のおける機材だなって感じています。
最後に、TranZformerに興味を持ってくれたユーザーにお勧めコメントをください。
Shun:
デジタル機材で悩んでいる人、環境で左右されるサウンドに悩んでいる人には、一回TranZformerを使ってみてもらいたいですね。
1回じゃ分からないかもしれないですが、僕みたいに幾つかの環境で試してみると分かると思います。
何せ、DuelJewelでは面倒くさい調整が必要なくなったと言う事実もあるので(笑)。
もちろん「apiサウンド」の好き嫌いはあるでしょうけど、デジタル機材で「音の伸び」や「まとまり」で悩んでいる人には全員試してもらいたい機材だと思います!
【製品紹介】TranZformer GTR
api独自のEQとブースト(プリアンプ)回路を、コンパクトなエフェクター・サイズで実現。ペダル・ボードに収まるサイズと、標準的な9V(~18V)電源で動作するように設計されています。
apiの大型コンソールにも搭載されている2510オペアンプと、2520のエレメンツ(オンボード搭載)、そしてapi製出力カスタム・トランスの織り成す「APIサウンド」をコンパクトサイズで実現した、待望の楽器用プロダクトです。ギター/ベースどちらにも対応し、素晴らしい「apiサウンド」が得られます。
プロフィール
DuelJewel Shun
2002年に現メンバーで活動開始、2016年にVo隼人の喉の病気により1度解散するが、2019年に復活を果たしたビジュアル系バンド。
ビジュアル系初の海外公演を成功させるなど、今もなお精力的に活動を続けている。