惜しくも生産完了となってしまったAPI TranZformerシリーズ。
LXを入手できなかったと言う悲嘆の声はSNSに流れてきましたが、まだGTは入手可能な店舗もあると聞いています。
今回は、日本のシューゲイズ・シーンで精力的に活動する COLLAPSE のベーシスト KOHEI 氏が、愛用するTranZformerについて語ってくださいました。
TranZformer既存ユーザー、そしてこれから最終ロットを入手しようと検討しているユーザーにも読んでもらいたい内容です。
インタビュー
TranZformerを知った経緯は何でしたか?
KOHEI:downyの仲俣和宏さんが使用しているのを見て知りました。
仲俣さんの機材は基本シンプルなのにコンパクトが幾つか並んでいる横にTranZformerがドーンとあって(笑)
それで気になっていて、お借りできたので自分のボードに入れて、しばらく試していたんです。
しばらくして一旦外して音を出してみたら全然違って、慌てて入れ直しました(笑)
どのようなサウンドの違いを感じましたか?
KOHEI:とにかく音が前に出るんです。
ライブで初めて使った時も「音がビックリするくらい前に出てますね!」と何人ものイベント出演者から言われて。「勝った」と思った瞬間でした(笑)
ギターの音が飽和するシューゲイズでは、芯となるベースが前に出るかどうかが重要ですからね。
EQの設定はどうでしょう?
KOHEI:以前は、今TranZformerのいるポジションにはMXRやSANSAMPを入れて音を整えていたんですが、どちらも400Hzあたりを気持ちよく操作できるEQがなかったんです。
TranZformer LXは400Hzがいじれるので、そこを少し上げています。
あとは、1KHz付近を上げるのが好きなので、実はTranZformer GTの1.5kHzも美味しいポイントなんですよね。
「音抜けが良い」と言われる他社のプリアンプやEQも、この辺りがコントロールできるからだと思います。
細かなEQの設定が可能
使用する楽器の周波数レンジに合わせた3バンド固定EQを搭載。アンプリターンに入力してプリアンプとして用いると、その実力がはっきりと分かります。
ちなみにアンプ側の設定は?
KOHEI:ヘッドはGALLIEN-KRUEGERなんですが、EQはほぼフラットか、キャビネットに応じて僅かにカットするかです。
アンプが鳴らせる会場では、僕はTranZformerはDIとしては使わず、一旦ヘッドに送っているんです。
…と言うのも、ベースアンプで音を整え、スピーカーから鳴っているサウンドを背中で感じているのに、その音がミキサー卓に行かないのが昔から疑問で。
なので、ヘッドのライン出力からTorpedoのスピーカーシミュレーターに接続し、そのDI出力からミキサー卓に送っています。
一般的な使い方では、プリアンプも搭載しているTranZformerを、そのままDIとして使うのが正解なんでしょうけど(笑)
もちろんレコーディングや、キャビネットを鳴らせないライブなどではTranZformerをDIとして使用しています。
前まで使っていた所謂「ブースト系のDI」が音が太すぎて、自分で外音をコントロールできなくなっちゃっていたのが悩みでした。
その点、TranZformerはEQやCompで抑える事もできるので、最終的な調整するのに最適ですね!
COMPは使用していますか?
KOHEI:COMPは、その日の環境によって…と言う感じです。
使うベースやエフェクトによってGALLIEN-KRUEGERでピークを突いてしまう時には、エチケット的にCOMPを「設定:1」でかけます。
音作り用のコンプレッサーはエフェクト・チェーンの前半に入れているので、TranZformerはボードの最後に置いて、音を整えるために使っています。
525 Style Feedback Compressor
6段階のプリセットされており、カーブの調節が可能に。
フィードバックコンプレッサーはゲインリダクションされたサウンドを基準にコンプレッションをかけるので、非常に音楽的。
リリースタイムはカッティング、ソロ、アルペジオと、刻々と変化するプレイスタイルに対して変化します
他に気に入っているポイントはありますか?
KOHEI:一番感動したのは位相スイッチですね!
ボードの最後にこれがあるのは大きいです!
キャビネットは持ち込みではないので、会場で実際に聞いて、感覚で位相スイッチを使うかを選びます。
キックとの位相などもありますしね。
EQやCOMPも搭載しているので、極論、TranZformerとSANSAMPあたり持って行けば海外公演みたいに荷物が制限される時でも行けちゃいますね!
製品情報
ステージからレコーディングまで多岐に渡る用途をカバーする、ギター・ベースペダル
TranZformer GT / LX
弦楽器をプレイするクリエイターに必要な全てを詰め込んだ、apiの伝統と革新が息づくギターペダル、それがTranZformer GT(ギター用)/ TranZformer LX(ベース用)です。
プリアンプとしてアンプをドライブさせるのに十二分な+30dBのゲイン入力。
エレクトリックギター/ベースに最適化された3バンドEQと数々のヒットレコードで聴ける名機、525コンプレッサーの回路を搭載。
DI出力も備え、ステージからレコーディングまで多岐に渡る用途をカバーする、十二分な機能を備えています。
勿論、「apiサウンド」を決定づける定番の2520/2510ディスクリートオペアンプを搭載。
出力トランスも定番api2503が採用されました。
レコーディングのラック機材級のパーツを惜しげなく贅沢に使ったギターペダルで得られるトーンは、何にも代えがたいものがあります。
+13dBuと高い入力のヘッドルームは、ラインレベルも入力可能。
DAWに録音した音源をオーディオインターフェース経由でTranZformerに通し、apiフレーバーを加える等、様々な応用が可能です。
50年以上に渡り、プロフェッショナル達の圧倒的支持を得るapiのサウンドクオリティは、TranZformerを使用することですぐに理解できることでしょう。
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プロフィール
COLLAPSE(コラプス)
2013年シューゲイザーバンドCOLLAPSE(コラプス)を結成しベース&コーラスを担当。 東京・埼玉を拠点に、台湾・中国・韓国でツアーを行う等、海外でも積極的に活動している。